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fruit, a fruit, fruits 単数形?複数形?

主語の単数・複数は、述語部分の単数・複数と一致するのでしょうか?

例文:Apples are a fruit. 和訳:りんごは一種類の果物です。

解説:Apples are fruits. というとおかしなことになります。fruitsというと、リンゴとバナナとミカンが混じってるような状態だからです。動詞は主語の単複にあわせた形をとるわけですが、補語にくる名詞は主語と数が一致するわけではないのです。ごっちゃにしないようにしましょう。同じような例文を猛一つ。

例文:Are tomatoes a fruit or a vegetable? 和訳:トマトは果物か野菜か?

英作文でBecauseで始まる単文を書くのは日本の中学生がよくやる間違い

I drank a lot of water. Because I was thirsty.
と書くのは、文法的に間違いです。なぜなら、becauseという接続詞は、従属節を導く働きがあり、かならず主節と合わせて完全な一文となるからです。上の例では、2つめの文は、従属節の部分だけがあたかも完全な文であるかのように書いてしまっているので、間違いなのです。中学生の英作文でよくみる語法の間違いのひとつです。
正しく書くなら、
I drank a lot of water, because I was thirsty.
または、
Because I was thirsty, I drank a lot of water.
となります。

中学英語の宿題で3つ以上の文で英作文しなさいといわれた中学生が、文の数を稼ぐために冒頭の例のように本来1文のものを2つに分けて、2文にしてしまうということがありがちです。中学の英語の先生も甘く採点してそれをOKにしてしまうかもしれませんが、正しい英文法を最初からきっちり学んでおいたたほうがよいと思います。学校の英語教育において、通じればいいという英語を書いていたら、大人になったときにビジネスで使えません。

Because I Love You という有名な歌がありますが、その歌詞には、

Because I love you, I’ll do anything. (あなたのことが好きだから、私は何でもしてあげる。)

Because I love you, I’ll be right by your side. (あなたのことが好きだから、あなたのすぐ側に居たい。)

Because I love you, my heart’s an open door.  (あなたのことば好きだから、私の心は開いた扉。)

と、「Beause従属節+主節」の形の文があります。

 

口語の場合

会話においては、理由を聞かれたとき、理由をいいたいときに、”Because + 単文” の形はあります。

A: We decided not to go.
B: Why?
A. Because it is so cold today.

(引用元:quora.com)

下の会話では、BECAUSEで従属節を導いた例および、単独で用いた例が出てきます。Because節の内部にWhen節も入り込んでいるのでちょっと構造が複雑ですが、主節が「That would have been my guess」で、because以下は、カンマもまたいで全て従属節の部分です。

FYE: One thing I have to ask you, I could guess the answer, but again I would be stereotyping. Did you smoke cigarettes?
LENFANT: I did at one time.
FYE: That would have been my guess because when you were growing up in France, I would think cigarette smoking was quite prevalent.
LENFANT: Yes, I smoked until 1962.
FYE: Why did you stop?
LENFANT: Because I could not afford it anymore!
(引用元:Dr. Claude Lenfant Oral History Transcript Conducted by: Dr. W. Bruce Fye May 16, 2000 history.nih.gov)

 

 

参考サイト

  1. Why can’t a sentence begin with “because”? (quora.com)
  2. Can You Start a Sentence with “Because”? (quickanddirtytips.com)
  3. Starting a Sentence With Because (Posted on July 10, 2014 by Corrine Pratt, writing.msu.edu)
  4. Because, because of and cos, cos of (dictionary.cambridge.org)
  5. Learn English Grammar: The Adverb Clause

目的語に動名詞しかとれない動詞(メガフェップス MEGAFEPS)、不定詞しかとれない動詞、両方とれる動詞の覚え方

目的語として動名詞をとる動詞と、不定詞をとる動詞、どちらもとれる動詞があります。中学校の英語で出てくる動詞の範囲であれば、動名詞をとる動詞をMEGAFEPS(mind, escape, give up, avoid, finish, enjoy, practice, stop)と語呂合わせ的に暗記することも巷では一般的なようです。しかし、覚えるべき動詞の数は中学以降飛躍的に増えることを考えると、メガフェップスと暗記していても大学受験に対処できませんし、その後も困り続けます。何か良い区別の方法はないものでしょうか?実は、目的語として動名詞をとるか不定詞をとるかは、その動詞の意味で決まるようです。「未来に冠するもの」はTo-不定詞、「過去に関するもの」は動名詞という区別です。また、「過去に関するもの」はネガティブな意味合いを含むことが多いようです。

この原則が適用できるか、試してみましょう。「彼はそんなことをした覚えはないといった。」をdenyを使っていうときに、動名詞でしょうかそれともTo-不定詞でしょうか?上の原則を適用すれば、動名詞だということがわかります。正解は、

He denied having done any such thing.

あるいは

He denied having done such a thing.

となるでしょう。

 

参考

  1. メガフェップス丸暗記は卒業!ややこしい【不定詞 (to do) vs. 動名詞 (~ing)】もイメージの力でスッキリ! (ひろの輪 DMM英会話Blog 2017 05.22)
  2. BBC English Masterclass: Gerund or infinitive?

~とは異なる be different from と be different than

中学英語では、「~とは異なる」は be different from と習いましたが、実際には、be different than も良く使われるようです。アメリカではむしろthanのほうが普通という人もいるくらいです。ALC(英辞郎)では、

different fromが正しく、thanを誤用とする人もいるが、特にアメリカを中心にして広く用いられており、正しい用法と考える人が多い。また、thanの後ろの名詞句は、節が省略されたものと感じられることがあり、fromとの間に微妙な意味の差が生まれることがある。

と説明されており、ニュアンスには差があるようです。

experiment results か、 experimental results か?

ジャパンタイムズの『出る順で最短合格英検1級 単塾語EX』の13ページにあった substantiateという単語を用いた例文に、The experiment results substantiate her theory. というものがあったのですが、これを読んだときに、あれっ?ここはexperimentalじゃないのかなと思いました。実際のところ、どちらがよいのでしょうか?ネットでいろいろ調べて考えたことを以下に記しておきます。

 

グーグル先生に聞いてみる

ためしにグーグル検索してみると、

“experiment results” 約 1,740,000 件

“experimental results” 約 20,500,000 件

で、experimentalのほうが10倍以上ヒットしました。ただし、この検索方法だと前後の単語とのつながりがわからないので、実際に中身を見る必要があります。こういうときは、こちらがよいという使い分けがある可能性があるからです。そこで、この例文のフレーズを丸ごとグーグル検索してみます。

“The experiment results substantiate” 3件

“The experimental results substantiate” 8,860件

という結果になりました。3件ヒットしたものも、3件とも著者の名前が中国系のようです。experimentalを用いた例を以下に挙げます。

  1. Allowing for limiting reaction at about 95%, the experimental results substantiate the model with K = k1/k0 = 0.80 ± 0.03, and L = k2/k0 = 0.37 ± 0.03, which are independent of temperature. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pol.1977.180150209/abstract
  2. The experimental results substantiate the effectiveness of the method in significantly improving the imaging performance of AFM at high scan speeds. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22128989
  3. The experimental results substantiate that this chemical reduction process obeys the model used in semiconductor physics for electron capture by surface states. http://adsabs.harvard.edu/abs/1968SurSc…9..119F

別の動詞を用いた例文も見てみます。まずはグーグル検索でヒット数を確認。

”The experimental results support” 約 349,000 件

”The experiment results support” 約 59,200 件

  1. Address whether the experimental results support or refute your hypothesis. https://www.coursehero.com/file/p71jpauf/Address-whether-the-experimental-results-support-or-refute-your-hypothesis-If/
  2. The scientist is determining whether the experimental results support or disprove the hypothesis being tested. https://socratic.org/questions/when-a-scientist-analyzes-experimental-results-what-is-the-scientist-generally-d
  3. Interpretation of how the experimental results support hierarchical mechanism 1 and exclude the other models. https://www.nature.com/articles/srep29263/figures/3

結論として、グーグル検索ヒット数で比べると、experimentalのほうがよく用いられると結論して間違いなさそうです。”experiment results”も使われているようですが、著者の所属をみると英語圏の国でないことが多い印象です。

  1. The experiment results support the analytical development and reveal nearly-exponential decline in the decision error as the completeness level increases. (著者の所属はスイスおよびイスラエル) http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/03610926.2016.1277752

 

「実験結果」のさまざまな英語訳

ほかの言い方も見ておきます。

実験に名前がついているとき

  1. new ATLAS experiment results https://phys.org/news/2017-09-quarknew-atlas-results.html

実験に名前がついていた場合には、このようになり、ATLAS experimental resultsとは言いません。

所有格を用いて形容詞に

所有格にして、experiment’s results(実験の結果)という言い方はよく見られます。

  1. If the experiment’s results support the hypothesis, it is used as the basis for a theory or law, otherwise it is rejected and the researcher tries again. https://www.linkedin.com/pulse/philosophy-business-science-raymond-anderson
  2. repeated trial: A repetition of an experiment to gather additional data and determine whether the experiment’s results support the hypothesis.
  3. The experiment’s results support the majority of the hypotheses about the social navigation user experience and provide mixed evidence for the other hypotheses. https://dl.acm.org/citation.cfm?id=1751342

OFを用いて

the results of the experimentも自然な言い方だと思います。どう使い分けるかは、文の構成などにも大きく依存します。

  1. While Tryon’s results showed that the “bright” rats made significantly fewer errors in the maze than the “dull” rats did, the question exists of what other sensory, motor, motivational, and learning processes also influenced the results of the experiment. https://en.wikipedia.org/wiki/Tryon%27s_Rat_Experiment

 

名詞 vs 形容詞

名詞を形容詞として使う語法がありますが、その名詞に形容詞形が存在するときには、今回のようにどちらを使えば悩む場合が出てきます。それに関しては、また別の機会に考えるとしましょう。

 

本に印刷されていることは絶対か?

英語の専門家集団であるはずのジャパンタイムズが出版する英語の本の中に間違いがあるわけがないと思われるかもしれません。しかし、この英検1級のための単語集には非常に広い分野の言葉が収録されているため、全てにわたって専門家が監修しているとは考えにくいでしょう。最初に自分が気付いた明らかな間違いは、84ページにあるgeneticallyという単語の訳語でした。「遺伝子学的に」と訳していますが、遺伝子学と言う言葉がそもそも日本語には存在しませんから、「遺伝子学的に」という訳語もあり得ません。geneticsは「遺伝学」、geneticは「遺伝学的な」、「遺伝学的な要因の」、geneticallyは「遺伝学的に」、「遺伝学的な手法によって」といった意味です。もちろん、文の中で使われているときには、その文の意味にあわせて柔軟に訳語が当てられます。

そんなわけで、自分は本に印刷されていることを100%鵜呑みにする必要はないと思っています。かといって自分が常に正しい保証もありません。一番もっともらしいことを、その間違いに気付くまで信じることにしようというのが自分のスタンスです。

 

フォーラム(掲示板)の回答は絶対か?

“Experimental result” vs “experiment result” という質問を見かけました。(http://www.english-test.net/forum/ftopic59347.html)。回答者は、以下のように答えていました。

Well, the first doesn’t quite make sense, since results come from an experiment; they are not experimental in themselves, but I suppose some speakers might use the phrase to mean the same as the other. I suggest ‘the results of the experiment’, however.

非常に参考になりますが、結果は実験から得られるものであって、「結果」自身が「実験的」ではあり得ないので、そういう言い方は意味をなさないと述べています。そういう感覚もあるのかなあとは思いますが、(もともと名詞であった言葉の)形容詞+名詞という語法において、形容詞が表す名詞と、修飾される名詞との関係は一義的とは限らず、多様な関係性がありえると思います。なので、この部分の説明には自分は同意しかねます。