投稿者「Japanese」のアーカイブ

It’s me. は文法的に正しい?

ガンのため壮絶な闘病生活の末に亡くなった逸見政孝アナウンサーが、自己紹介のときにジョークでIt’s me.というのだというエピソードを聴いたことがあります。それくらいit’s me.という表現は一般的に使われているわけですが、文法的に it is me.はあり得るのでしょうか?

実は文法的に正しいのは、It is I.です。なぜ、It is me でなく、It is I.が正しいのか?それは、そういう文法のルールが存在するからです。

Is やseemで主語とつながる単語は補語と呼ばれますが、主語(Subject)のことを説明する補語(

Complement)なので、subjective complementと呼ばれます。

【ルール】subjective complementの「格」は、主語の「格」すなわち「主格」にする。

It is me.だと、meは主格ではなく目的格ですから、ルール違反だよというわけです。しかしながら慣用表現として、特に口語では普通に使われます。むしろIt is I.というほうが堅苦しくて不自然な場合すらあります。結局、言葉は状況に合わせて正しく選択すべきものなので、文法的に正しいものが常に正しいとは限らないのです。

参考 Edward D. Johnson. The Handbook of Good English:Revised and Updated. Facts and Fire, Inc. (1991). ISBN 0-8160-2711-0  Rule 1-6. 21-26ページ およびGlossary 358ページ.

同様の表現は電話を受けたときに「メアリーさんはいますか」(Can I speak to Mary?)と相手が聞いてきたときに、「私です。」(This is she.)という場合あります。この場合の受け答えのしかたとしては、

This is she speaking.

あるいは

This is she.

あるいは一言、

Speaking.

などと言います。

data(データ)はラテン語datumの複数形

データ(data)という言葉はすっかり日本語になっていますが、Our data suggests that ~ と書くと間違い。なぜなら、dataはそれ自体で複数形だから。正しくはOur data suggest that ~ です。ほとんど見かけませんが実は単数形はdatumなのです。Google scholar (グーグルスカラー)で検索して確かめてみましょう。

“Our data suggest that” 548,000件

“Our data suggests that ” 64,400件

正しく使っている文献が90%という結果になりました。

 

ちなみにアジェンダ(agenda)という言葉も日本語として、とくにビジネスシーンでは定着していますが、これももともとラテン語でagendumの複数形です。みんなの使い方をグーグル検索で調べてみると、

“today’s agenda is” 100,000件

“today’s agenda are” 13,000件

“today’s agendas are”  235件

“today’s agendum is” 3件

となりました。dataとは事情が異なり、agendaは今や単数形として認識されているようです。

言葉は時代とともかわっていくので、たとえ誤用であってもみんなが長年間違い続ければいづれ正しいこととして受け入れられてしまうというのが、言言語の面白いところではないでしょうか。

5ドル(five dollars)は単数形か複数形か?

英語は日本語と違って、主語が単数か複数かで動詞の形が変わります。それでは、Five dollars are ~ と言えば正しいのでしょうか?非常にややこしいことに、形の上では複数形であるFive dollarsですが、5ドルというひとまとまりの金額を現わす場合には、単数形という扱いになります。

Five dollars is not enough. 5ドルじゃ足りないよ。

主語の単語が単数形か複数形かという形式的なことよりも、その単語が実際に表す中身が単数なのか複数なのかで、判断されるわけです。familiyという単語の場合も同じ考え方ができます。家族のメンバー一人ひとりを考えているのならば、複数形の扱いですし、家族というひとまとまりを考える場合には単数形になります。

My family is from Scotland. 私の家族はスコットランド出身です。

My family are tall. 私の家族は背が高い。

 

Stay at homeとStay homeとの違いは何?

COVID-19が蔓延するのを防止するために、家にとどまるよう国を挙げて呼びかけがなされています。英語で言う場合には、Stay at homeでしょうか?それともStay homeでしょうか?両者にはどんな違いがあるのでしょう?

stay homeは、おうちにいなさい。homeは副詞です。家という言葉には家庭生活までニュアンスを感じます。

stay at homeは、場所を明示する前置詞+名詞なので、学校とか職場とか外とかではなく家に、いなさいというニュアンス。

 

 

 

有望だが、まだ研究の途上である promising but still under investigation

科学論文で使える英語表現。有望だがまだ実用に至っていないという意味を伝える英語表現です。

血管新生療法はこれらの患者にとって一つのオプションになるが、まだ研究段階である。Angiogenic therapies are emerging as an option for these patients but are currently still under investigation. (Assessing Therapeutic Angiogenesis in a Murine Model of Hindlimb Ischemia  JoVE 2019年)

別の論文から例文を紹介。

これは新しい、これからやってくる技術であるが、まだ臨床研究の段階にある。This is a new and upcoming technique which is still under clinical investigation.

Prosthetic meniscus implants are a promising new tool for meniscus deficiency but are currently still under investigation.

With its simple implantation, and joint sparing use, this implant has good potential to postpone more aggressive treatment options to a later age. Currently, the device is under clinical investigation for safety and efficacy in a multicenter European study.

(引用元:Meniscus Substitution: Scaffolds, Allografts and Prosthetic Implants. Developing Insights in Cartilage Repair pp 253-265. Springer

「アガる」を英語でいうと?become nervous; get stage fright

「アガる」は英語で
become nervous あるいあ
get stage fright
と言います。fright は恐怖という意味。ステージに立って感じる恐怖なので、あがるというわけ。そのまんまですね。become nervousは、文字通り、緊張するという意味。日本語のあがるは、get stage frightのほうがニュアンスが近いと思います。

He left without so much as saying goodbye. 彼はさよならも言わずに出ていった。

He left without so much as saying goodbye.
彼はサヨナラを言いもせずに出ていった。

He left without saying so much as a goodbye.
彼はサヨナラの一言も言わずに出ていった。

上の2例では、so much as の位置が異なりますが、何を強調したいかによります。so much as の直後の言葉が強調されます。上ではそのニュアンスが出るように訳出を工夫しました。実際には、英文が先に与えられた場合どう訳しても良いと思います。

YOUGLISHで実例を聴く

without * so much as“ 37例

いずれの場合も、without so much as 名詞(あるいは動名詞) の形をとっています。

 

英語らしいフレーズ6選

英語には英語らしい言い回しというものがあります。それらが自然に口をついて出てくるようになれば、ネイティブみたいに英語を話すレベルに一歩近づいたといえるかもしれません。

  1. at the count of three   3つ数えたら
  2. get a sense of ~   ~がなんとなくわかる
  3. go extra mile  期待されているところよりももう一歩先へ行く努力をすること
  4. The point is that ~  ポイントは何かというと~
  5. To give you an idea of ~  ~がどんものか分かっていただくために、
  6. true north 自分の生き方のブレない軸、態度;生きる目的(真北)
  7. What do I mean by that?  どういうことかというと、